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より良いトーナメントを作り、その中でどう戦うか?

2012-7-27 カテゴリー:フィッシング

前々回「トライアルドリームツアーUSA」という企画でJB霞ヶ浦チャンピオンの中川君をアメリカに連れていった話を紹介したんだけれども、今回はその続きから。

この企画はローカルシリーズで頑張っている選手達にもモチベーションや夢を提供したいというのが1つ。

もう1つは若手の選手、もしくはこれからバスプロになろうとしている人達の将来に、なにかプラスになるようなことをしたい。

そのために自分がJBへ提案して行われるようになったのが「トライアルドリームツアーUSA」。

現状、JBのローカルトーナメントは9シリーズあるのだが、その中でパフォーマンス査定方式という、いわば偏差値式に1位の人を選び招待するという企画。

そして今回、その権利を獲得したのが先日紹介したJB霞ヶ浦チャンピオンの中川君なんだ。

そもそもO.S.Pというのはルアーを販売するメーカーという面の他に、自分のバスプロとしての事務所でもある。

自分のプロ活動による収益なども会社に入るようになっている。

そんな中、自分が今やっている活動の中で、どんな形で応援できるかを考えた時に出てきたアイディアなんだ。

JBの協会側からは「もっと協賛して欲しい」という要望がくるのだが、自分は協会を通して間接的にではなく、もっと選手へダイレクトになにかしてあげたいという思いがあった。

なによりもローカルシリーズで頑張ってる選手も、メディアに載るチャンスを作ってあげたい。

なので今回は、そういったメディアの取材陣が同行する経費なども含めて、この「トライアルドリームツアーUSA」をO.S.Pとしてサポートしたんだ。

自分はこれまでトーナメントをハードにやってきたからこそ、その魅力や素晴らしさを体感しているし、これからの若手選手が羽ばたけるような舞台としてのトーナメントシーンであって欲しいと望んでいる。

多くの選手たちも、平等で公平に競い合えるトーナメントとして、より良い世界にしていきたいと思っているだろう。

ただ、そういったことについて素直に言い合える場がなかったり、言いにくい風潮があるのも確かで・・・。

現役選手の多くはそういったことに対して意見を言いにくかったり、スポンサーや年齢的に立場が下なので言えずに我慢している選手も多い。

そういった意味で、トーナメントをより良くしてもらいたい、「そういったことは、並木さんにきっちりやってもらいたい」というコメントをよくもらっている。

トーナメントにおける不公平な問題点というと、例えば立場的に上の選手に「ここを釣るな」とか「自分が来たら場所を譲れ」と言われることがあるんだけど、これっておかしな話だよね。

初日に自分がよく釣った場所はマイウォーターで、その後は他人に釣らせず、他人が初日によく釣った場所はお構いなしに釣る。

昔から近くに寄ってきて舌打ちをするとか、そんな子供っぽい威嚇行為もあるけど、こういうのを無くして誰もが平等に戦える空気を作ってあげることが必要だ。

過去には「場所を譲れ」ならまだしも、最終戦前に年間タイトルを競っていたライバルへ「タイトルを譲ってくれ」とまで言ったなんていう、まるで笑い話のようなこともあったんだ。

釣れる場所を教えなかったスポンサーつながりの地元サポーターに試合後「俺の前から消えろ」と暴言を吐かれたなんて話も、言われた本人から聞いたことがある。

場所とりやライバルの場所つぶしも聞いたりしたけど、古い話で、今だから笑って話せるけど、自分がされたイヤガラセの中には、当時(外来法制定より、はるか前)の「プラクティス中に別水域へバスを運んではいけない」というルールの網の目をくぐるよう「ならば水槽に運んでしまえ」という発想をするような、競技としてのバスフィッシングよりも、人を出し抜いて釣ることだけに情熱を燃やすタイプの選手もいた。(この件をもとにその後、プラクティス中のライブウェルの使用禁止というルールに変更になった。)

他にも明確に釣り禁止場所とは制定されていないが、うるさい人がいて「釣りをするな」と言われるマリーナへ事前に自分の船を伝え「この船だけは釣りをさせてもらいたい。そして他のボートが来たら追い払って欲しい」と頼みこむとか(そのマリーナで粘り倒してクラシック準優勝!それでいて、このタックルやオレってすごい!ってなってしまうから、おかしいと思う)、別の湖のマリーナではわざわざ高いガソリンを入れてコネをつくり、自分だけそこを釣らせてもらおうというセコい作戦をもあったな~。

こういった自分1人だけが有利になるようなセコい考え方をする選手がいるというのは、今でもよく耳にするよ。

ルール違反ではないけれども、こういうモラルの低いアングラーがいるとトーナメンター全員の信頼も失墜させるし、今尚頑張ってる選手からすれば面白くない話だろう。

また、これから育っていく若手選手がそういった汚い戦い方を見て、それがトーナメントの戦い方だと勘違いしたり、嫌気が差してトーナメントから去ってしまったりするのは、今後、日本のバスフィッシングが成熟していくのに大きな損失になってしまう。

事実、そういう事実を目の当たりにした選手の多くがトーナメントを辞めてしまったり、釣り自体を辞めてしまっているということ。

それが嫌で海外に行きたがっている、もしくは行ってしまった選手もいる。

ちなみに、これだけを見ると多くの選手がモラルの無い行動を繰り返し、そういったことが蔓延っているように思われるかもしれないけれども、そうではないとは断言しておこう。

だからといって傍観していては何も変わらないので、現役選手としてではなく、例えばスポンサーメーカーの社長として、更にはアメリカのトーナメントを経験してきた1人のトーナメンターとしてできることを、ずっと考えていたんだ。

これからの若手選手にできる自分なりの応援方法を考えた結果、ウェイイン時のバスの扱い方も含めてより良いルール作りの提案をしたり、「トライアルドリームツアーUSA」の企画を全面サポートしたりしている。

とにかく自分が運営団体側に言いたいのは全選手がやりがいを持ち、平等なルールの下で、のびのびと試合ができる環境作りをお願いしたいということ。

これは参加している選手たちだけでなく、協賛している多くのメーカーが平等と感じるトーナメント作りも含めてである。

現実問題として多くのメーカーがスポンサーを降りたがっているという事実があるのだが、それでは日本のトーナメントシーンは先細ってしまう。

一部のメーカーや選手が特別扱いされて恩恵を受けるような構造でなく、すべてのメーカーや選手が平等に満足できるようなものにしていくべきだろう。

スポンサーにしても商品を売るためだけに選手を利用するのでなく、自社の看板を背負う責任と、プロフェッショナルとしての在り方も含め、正しい教育をお願いしたいものだ。

フェアーに頑張っている人がバカを見るようなバストーナメントや、バス業界に絶対にしてはならない。

話は変わって、自分がバスを本格的に始めたのは19才の頃から。

子供時代から釣りが大好きで、釣り好きが高じて東京水産大学(現、東京海洋大学)へ行き、卒論もバスの生態研究という、大学時代以降はバスにドップリ漬かった人生である。

その頃、バス釣りで食べていくなんて友人や親に話しても「馬鹿なことを言うな」と怒られた時代。

釣具メーカーに就職した2年後、そこを辞めて「トーナメントプロを目指す」と言った時は父親に勘当されたこともあったんだ。

ある意味、釣り一本で食べていくにはテレビのフィッシングキャスターの故 西山徹さんのような存在でしか無理だと思われていた時代。

自分はバス釣りにハマる内にトーナメントに魅せられ、自分がどこまでやれるのか、そんなものに挑戦したいという気持ちが大きくなっていった。

当時からトーナメントプロとしてガイド業などで生計を立てていた下野さんのような人になりたいという気持ちに加え、チャレンジしないまま終わりたくないという自分の中での気持ちが強くなり、会社を辞めてプロ活動に専念したのだ。

その後、車の荷台で寝ながら常に湖畔へ泊まる生活が続き、全国のトーナメントフィールドにある銭湯はすべて知っていたほど。

バスフィッシング市場の成長とともに自分も頑張ってこられたから、ある意味でいえば時代に恵まれたのかもしれないね。

自分が日本のトーナメントへ出場していた時代と比べれば、現在のバス市場ははるかに大きくなった。

今では金銭契約もザラだけれども、当時は限られたプロしか契約もできず、その額もいまと比べれば小さいものだったんだ。

 

よく「トーナメントプロとして成功するには?」と質問されるのだけれども、その答えは「とにかく集中して頑張ることだ」と言っている。

あるフィールドを前にした時、試合の季節とフィールドの特性を踏まえててベクトルさえ合っていれば、あとは掛けた時間に比例して結果がついてくるはずだから。

アメリカみたいに馬鹿デカすぎるフィールドと違い、日本の中で広大とされるフィールド規模なら、情報に恵まれなくても人一倍の時間を掛けてフィールドを調べ、釣りのテクニックを磨きあげれば結果はついてくるはず。

頑張っているのに成績がついてこないという人は、その人からすれば頑張っていても、それ以上に頑張っている人が上位にいると考えれば、もっと努力すべき点を見つめ直すヒントになるんじゃないかな?

 

トーナメントを戦う上でつらいことも多いだろうけれども、その「つらさ」にも正しいものと理不尽なものがある。

理不尽な部分というのが前記したような内容になるのだが、そういった理不尽な部分は正していく必要があるから、そういった面を正すために自分は力になれる。

自分自身のレベルアップ、スキルアップを目指し、純粋にバス釣りの技術を向上させていくことで成長していくのがバスプロとしてあるべき姿だし、そうすれば、いつか必ず評価される日がくると信じて頑張ってもらいたい!

 

-P.S.-

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新しいレンジャーのセッティングで潮来のサイト51に行ってきた。

GPS、魚探系の最終セッティングを行ってきたわけだが、近いうちにラップされる予定なので楽しみだ。

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