バスの扱いについて
2012-4-21 カテゴリー:モラル
(こちらの記事は2012年4月21日のブログよりメッセージ部分を抜粋したものです)
今回は、JB&NBCトーナメントにおいて今シーズンから、バスを片手につき複数匹持つことが禁止になったことを報告したい。
今年の2月に自分がJBの山下さんに手紙を書いたことが、きっかけになったのだが・・・。まっ、理由などの詳細は、その手紙を添付するのでじっくりと読んで下さい。
自分も随分前に、JB&NBCのトーナメントに出場していた時代があったが、その頃は何となくバスがかわいそうだなと思いつつも、皆へ見せたいという気持ちの方が強く、両手で5本のバスをホールドしていた。
その時にバスを地面に落下させてしまったこともあるし、落下させまいと思い強く握り締めバスの下アゴを割ってしまったこともある。またそこまででなくともバスをつかむため、かごの中で転がしたり時間もかかっていた。
それから時代が流れ、バスが沸くようにいた時代はとうに終わり、1匹のバスにかかるダメージは増えるばかり・・・。
ということで、これを読んだ皆さんもローカルトーナメントやプライベート釣行時に、バスを持つ時はご協力下さい。
ただ本音を言わせてもらえば、本来こういったことは自分が提案しなくても(2年程前にBASSERの誌面でも、同様の主張を訴えていたんだが・・・。)、協会や発言権のある選手が自ら進めてほしかった部分でもある。
他のトーナメント団体では行われていない。なぜだろう?と考えれば自ずとわかるはずだから。
以下が送付した手紙です。
謹啓
山下 茂様
日頃はプロアングラー並木敏成に対しまして格別のご指導を賜り、厚く御礼申し上げます。また「並木敏成と行くトライアルドリームツアーUSA」に関しては、いろいろとお骨折りいただき感謝申し上げます。
さて、今回はJB&NBCトーナメントに関しまして、ひとつ提案させていただきたく、お手紙を差し上げます。
JB&NBCトーナメントにおいてはウェイイン後、選手は各媒体の依頼で写真を撮ってもらっているようですが、その際の魚の持ち方について提案させていただきたいのです。
ご承知のようにJB&NBCトーナメントでは5本(又は3本)のリミットを達成した選手は、その5本(又は3本。以下は5本リミットを例としてお話します)の魚を1人ですべて持って写真を撮られているケースも多いようです。右手で3本、左で2本、という具合です。また、4本持ってきた選手は、左右の手で2本ずつ持っています。つまり、釣ってきた魚をすべて1人の選手が持って写真に撮られるのが通常のパターンとなっているようです。
私にはこの複数持ちが、どうかと思われるのです。
その理由は、
第一に魚体を傷めます。体表と体表がこすれあうことで、魚にとってとっても大切な粘膜を傷めます。そして落とさないように力を入れて持つために、アゴを傷つけるケースが実際にあります。
第二に、魚を落下させることもあり、そうなったら魚体へのダメージは計り知れないものがあります。
さらなる問題は、こうした行為を一般のアングラーが真似て、ローカルトーナメントなどで実行することです。ただでさえ影響力の強いJBトーナメントですが、その中でも一流の選手がこうした行為を行うと、その影響は計り知れません。私は危惧の念を覚えます。
アメリカのB.A.S.S.トーナメントでは創始期にストリンガーで多数のバスをぶら下げている写真を見たことがありますが、その後、ずいぶん前からB.A.S.SやFLW共にバスは片手に1本持ちが常識となっており、国内のW.B.S.においても複数持ちは禁止されている実例があります。
ちなみにB.A.S.SやFLWでは、ウエイイン後、バスを安定させる薬品の入った水でしばらく安定化させ、この時必要がある個体には一匹一匹ケアをし、最後には全部のバスを専用のボートで水温の安定した、バスがしばらく休息できそうなエリアまで運んでリリースします。そこまで考えているからこそ、スポーツフィッシングとしての地位を築いているのだとも言えます。
また、今は定かではありませんが、かつて日本のとある出版社では、複数持ちの写真はなるべく掲載しないようにしていた程、見る人によっては残酷に映る光景です。
ですから魚体保護のために、JB&NBCも複数持ちを禁止することをルール化したらどうでしょうか。左右の手で一本ずつ魚を持てば何の問題もないと思いますし、3本以上見せたい人は他の人が持つのを手伝えば済むことです。
かつてのバスが沸くようにいた日本のバス密度と異なり、現状、バスの個体数は落ち着き、決して多いとは言えません。そのうえで、フィールド規模に対するフィッシングプレッシャーは尋常でないレイクもあり、日本の各フィールドのバスの、特に口周りのダメージは目に見えて悪くなっていく一方です。また、JB&NBCトーナメント後のフィールドへのダメージは一部で深刻だと聞きます。
ルールとして複数持ちを禁止するという決断は、恐らく、魚体保護の観点からも周囲の共感を得られると思います。選手も賛同してくれるでしょう。
なぜなら、JB&NBCは最大のトーナメント組織ですから、その選手は日本のバスフィールドの未来を考え、日本中のアングラーの手本となるべきだと思うからです。
何卒ご検討いだきたいと存じます。
最後に、JB&NBCのますますのご発展をお祈りいたします。
平成24年2月13日
プロアングラー 並木敏成